CASE事例紹介

  • 2022.05.10
  • Chain-G

キャリアに一石を投じる

日本の企業が公然とリストラをするようになったのは、1990年代初頭のバブル崩壊後だったでしょうか。大手企業ですら永久に安泰とは限らない、終身雇用も継続できないかもしれないとなり、2000年になってからは、国として「自分でキャリアをどう構築するのか考えなさい」という方向にシフトしたように思います。すなわち、極論ですが「会社に運命を託するのみならず、自らのエンプロイアビリティ(雇用される能力)を高め、社外をも視野に入れて」という意味だと思います。その一つの形として、2016年にはキャリアコンサルタントが国家資格になりましたね。

 

しかしながら厚労省の資料によると、キャリアコンサルタントの活躍の場は、その40%が企業内、約25%がハローワークや民間転職支援会社、学校等20%、その他15%となっています。企業内が40%です。でもこれはこれで正しい。欧米の企業も当然優秀な社員のリテンション対策は行っていますし、それは企業として当然のことだと思います。問題は、「自分でキャリアをどう構築するのか考えなさい」、すなわち自分のキャリア形成を社内外含め広く考えなさいと言っておきながら、実態はなかなかそこに至っていないことではないでしょうか。

 

採用場面に於いて、未だにネックとなっているのは年齢と転職回数です。これは前回も書かせていただいた通り、私の外資系企業での経験上のお話ですが、「欧米では、給与レンジ内であれば年齢に関係なくよりできる人を採る、求職者の転職回数は全く気にしない。」と言うのが当たり前でした。

 

一方で若手の活用も同様です。明治維新を成し遂げたのは、20代後半から30代前半の若者です。中高年をどう活用するかを考える一方、一層若手の活用も柔軟にすべきでしょうね。(維新は大好きなテーマです。人事やキャリアに絡めて、いずれ暑苦しく取り上げたいと思っておりますが、どこから書こう?)

 

 そんな中で、私にできることは、一人ひとりとキャリアについて真摯に向き合ってお話をしていくという、コツコツとした動きではないかと考えています。一個人でできることはどうしても限られてくるため、地道な活動ではありますが、幸いにも共感いただけれる方がほとんどです。キャリアに投じる一石が波紋のように広がり、多くの人のキャリア形成を考えるきっかけになれば、これほど嬉しいことはありませんね。

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